Storage

作成: 2026.03.24更新: 2026.03.24

カテゴリ概要

Azure のストレージサービスは、オブジェクト・ブロック・ファイルの各ストレージに加え、アーカイブやデータ転送まで幅広い領域をカバーする。AWS と最も大きく異なるのは「ストレージアカウント」という上位リソースの存在であり、Blob コンテナ・File 共有・Queue・Table がすべてこのストレージアカウントの配下に配置される。AWS では S3、EBS、EFS、Glacier などが独立したサービスとして存在するが、Azure ではストレージアカウントを軸に複数のストレージ機能が統合されている。

サービスマッピング一覧

機能AWS サービスAzure サービス主な違い
オブジェクトストレージS3Blob Storageバケット → コンテナ。ストレージアカウントが上位概念として存在
ブロックストレージEBSManaged Disks概念はほぼ同一。ディスクタイプの名称が異なる
ファイルストレージ(NFS)EFSAzure Files(NFS)Azure Files は NFS と SMB を 1 つのサービスで提供
ファイルストレージ(SMB)FSx for Windows File ServerAzure Files(SMB)同上。Azure では別サービスに分かれない
高性能ファイルストレージFSx for LustreAzure Managed LustreHPC / AI ワークロード向け。概念はほぼ同一
アーカイブストレージS3 Glacier / S3 Glacier Deep ArchiveBlob Storage Archive tierAzure では別サービスではなく Blob のアクセス層として管理
バックアップAWS BackupAzure Backup概念はほぼ同一。対応リソースの範囲が異なる
大容量データ転送Snowball / SnowconeAzure Data Boxオフラインデータ転送デバイス。概念はほぼ同一
ハイブリッドストレージStorage GatewayAzure File Syncオンプレミスとクラウドのファイル同期。StorSimple は非推奨

主要サービス詳細

Azure Blob Storage(AWS: S3)

Azure のオブジェクトストレージサービス。非構造化データ(画像、動画、ログ、バックアップ等)を大量に格納するために使用する。

AWS エンジニアが知っておくべき違い:

  • S3 はバケットがトップレベルのリソースだが、Azure では「ストレージアカウント → Blob コンテナ → Blob」という 3 階層構造になる。ストレージアカウントは課金・アクセス制御・冗長性設定の単位でもある
  • S3 のバケット名はグローバルに一意だが、Blob コンテナ名はストレージアカウント内で一意であればよい。代わりにストレージアカウント名がグローバルに一意である必要がある
  • S3 のストレージクラス(Standard / Intelligent-Tiering / Glacier 等)に対応するのが、Azure のアクセス層(Hot / Cool / Cold / Archive)。Blob 単位でアクセス層を変更でき、Lifecycle Management ポリシーで自動移行も可能
  • S3 のバージョニングに相当する機能として Blob のバージョニングがあり、ストレージアカウント単位で有効化する
  • アクセス制御は SAS(Shared Access Signature)トークン、ストレージアカウントキー、Microsoft Entra ID + Azure RBAC の 3 方式がある。S3 のバケットポリシーに完全対応するものはないが、RBAC とストレージアカウントのファイアウォールルールで同等の制御が可能

Azure Managed Disks(AWS: EBS)

Azure Virtual Machines にアタッチするブロックストレージ。概念は EBS とほぼ同一。

AWS エンジニアが知っておくべき違い:

  • EBS のボリュームタイプ(gp3 / io2 / st1 / sc1)に対応するのが、Azure のディスクタイプ(Premium SSD v2 / Premium SSD / Standard SSD / Standard HDD / Ultra Disk)
  • EBS の gp3 に最も近いのが Premium SSD。高 IOPS が必要な場合は Ultra Disk または Premium SSD v2 を選択する
  • EBS スナップショットと同様に、Managed Disks のスナップショットを取得できる。増分スナップショットにも対応
  • 可用性ゾーン間でのディスク移動は、EBS 同様にスナップショット経由で行う
  • Managed Disks は VM と独立したリソースとして管理され、VM を削除してもディスクを残すことが可能(EBS と同じ概念)

Azure Files(AWS: EFS / FSx for Windows File Server)

フルマネージドのファイル共有サービス。NFS と SMB の両プロトコルをサポートする。

AWS エンジニアが知っておくべき違い:

  • AWS では NFS ファイル共有は EFS、SMB ファイル共有は FSx for Windows File Server と別サービスに分かれるが、Azure Files は 1 つのサービスで両方をサポートする
  • NFS 共有は Premium tier のみで利用可能。SMB 共有は Standard tier と Premium tier の両方で利用可能
  • EFS のようなサーバーレス自動スケーリングではなく、プロビジョニングした容量に対して課金される(Standard tier は使用量課金も選択可能)
  • Active Directory 統合による認証が可能で、オンプレミス AD または Microsoft Entra Domain Services と連携できる
  • Azure File Sync を使うことで、オンプレミスの Windows Server とクラウドの Azure Files を同期できる(AWS Storage Gateway に近い概念)

Azure Managed Lustre(AWS: FSx for Lustre)

HPC(High Performance Computing)や AI / ML ワークロード向けの高性能並列ファイルシステム。

AWS エンジニアが知っておくべき違い:

  • FSx for Lustre と同様に、大規模な並列読み書きが必要なワークロードに適している
  • Blob Storage との統合が可能で、データを Blob から Managed Lustre にインポートして高速処理し、結果を Blob にエクスポートできる(FSx for Lustre の S3 連携と同じ概念)
  • FSx for Lustre に比べると後発のサービスであり、対応リージョンや機能面でまだ差がある

Blob Storage Archive tier(AWS: S3 Glacier / S3 Glacier Deep Archive)

Blob Storage のアクセス層の 1 つで、長期保存・ほぼアクセスしないデータ向け。

AWS エンジニアが知っておくべき違い:

  • S3 Glacier は独立したサービス(別の API 体系)だが、Azure の Archive は Blob Storage のアクセス層の 1 つであり、同じ API で操作できる
  • Archive 層の Blob にアクセスするには、まず Hot / Cool / Cold のいずれかの層に「リハイドレート(復元)」する必要がある。S3 Glacier の復元リクエストに相当する
  • リハイドレートの優先度を Standard(最大 15 時間)または High(1 時間以内)から選択できる。S3 Glacier の Expedited / Standard / Bulk に対応する概念
  • Lifecycle Management ポリシーで Hot → Cool → Cold → Archive への自動移行を設定できる。S3 Lifecycle Policy と同じ考え方

Azure Backup(AWS: AWS Backup)

Azure リソースの一元的なバックアップ管理サービス。

AWS エンジニアが知っておくべき違い:

  • AWS Backup と同様に、VM、Managed Disks、Azure Files、SQL Database、Blob Storage などの複数リソースを一元管理できる
  • Recovery Services コンテナ(またはバックアップコンテナ)にバックアップデータを格納する。AWS Backup のバックアップボールトに相当
  • バックアップポリシーで保持期間やスケジュールを定義する点は同じ

Azure Data Box(AWS: Snowball / Snowcone)

大容量データをオフラインで Azure に転送するための物理デバイス。

AWS エンジニアが知っておくべき違い:

  • Snowball に相当する Data Box(最大 80 TB)、より大容量の Data Box Heavy(最大 1 PB)、小型の Data Box Disk(最大 40 TB / SSD)がある
  • AWS Snowcone のような超小型デバイスに直接対応するものはない
  • データのエクスポート(Azure → オンプレミス)にも対応している

Azure File Sync(AWS: Storage Gateway に近い)

オンプレミスの Windows Server と Azure Files 間でファイルを同期するサービス。

AWS エンジニアが知っておくべき違い:

  • Storage Gateway のファイルゲートウェイに概念が近いが、Azure File Sync は双方向同期を基本とする
  • クラウド階層化機能により、アクセス頻度の低いファイルを自動的に Azure Files にオフロードし、オンプレミスのストレージ容量を節約できる
  • 複数の Windows Server を同一の Azure Files 共有に同期できるため、マルチサイトのファイルサーバー統合に適している
  • 旧 Azure StorSimple は非推奨となり、Azure File Sync への移行が推奨されている

AWS との主要な違い

ストレージアカウントという上位リソース

Azure ストレージの最も特徴的な概念が「ストレージアカウント」である。AWS では S3 バケット、EBS ボリュームなどがそれぞれ独立したリソースだが、Azure ではストレージアカウントの配下に Blob コンテナ、File 共有、Queue、Table が配置される。ストレージアカウント単位で以下が決まる:

  • 冗長性: LRS(ローカル冗長)/ ZRS(ゾーン冗長)/ GRS(地理冗長)/ GZRS(地理ゾーン冗長)
  • パフォーマンス tier: Standard(HDD)/ Premium(SSD)
  • アクセス制御: ストレージアカウントキー、SAS トークン、ネットワーク制限
  • 課金単位: ストレージアカウント配下のすべてのサービスが一括管理

AWS では S3 バケットごとにバージョニングやライフサイクルを独立設定するが、Azure ではストレージアカウントレベルの設定がその配下のリソースに影響する点に注意が必要。

アクセス層モデル vs 独立サービスモデル

AWS では S3 Standard / S3 Glacier / S3 Glacier Deep Archive がそれぞれ異なるストレージクラス(Glacier は歴史的に独立サービスでもある)として存在する。Azure では Hot / Cool / Cold / Archive の 4 つのアクセス層が Blob Storage の機能として統合されている。層の変更は Blob 単位で行え、API も共通であるため、運用がシンプルになる。

ファイルストレージの統合

AWS では NFS ファイル共有(EFS)と SMB ファイル共有(FSx for Windows File Server)が別サービスとして提供されるが、Azure Files は 1 つのサービスで NFS と SMB の両方をサポートする。プロトコルの選択はファイル共有作成時に決定し、同一ストレージアカウント内に NFS 共有と SMB 共有を混在させることも可能。

冗長性の考え方

AWS の S3 はデフォルトで 3 AZ にデータを複製するが、Azure のストレージアカウントでは冗長性レベルを明示的に選択する必要がある。LRS(単一データセンター内 3 コピー)が最も安価だが、AZ 障害に対する耐性がない。本番ワークロードでは ZRS(3 AZ に分散)以上を選択すべき。

サービス選定の指針

ユースケースAWS での選択肢Azure での選択肢
Web アプリの静的アセット・画像S3 + CloudFrontBlob Storage + Azure CDN / Front Door
アプリケーションログの長期保存S3(Intelligent-Tiering or Glacier)Blob Storage(Cool → Archive のライフサイクル)
VM のディスクEBS(gp3 / io2)Managed Disks(Premium SSD / Ultra Disk)
Linux サーバー間のファイル共有EFSAzure Files(NFS プロトコル)
Windows サーバーのファイルサーバーFSx for Windows File ServerAzure Files(SMB プロトコル)
HPC / AI 向け高性能ファイルシステムFSx for LustreAzure Managed Lustre
数年〜数十年のアーカイブデータS3 Glacier Deep ArchiveBlob Storage Archive tier
オンプレミスからの大容量データ移行Snowball / SnowconeData Box / Data Box Heavy
オンプレミスとクラウドのファイル同期Storage Gateway(File Gateway)Azure File Sync
VM やデータの一元バックアップAWS BackupAzure Backup